『実態より下振れの家賃指数』住宅関連統計の課題【更新】 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング

不動産投資コラム

『実態より下振れの家賃指数』住宅関連統計の課題

東京などの大都市で、住宅価格の上昇が続いています
住宅関連費用の上昇は、住宅の取得を困難にし、現在または将来の家計を逼迫させます。
しかしわが国では、住宅取得費用(価格)は大きく上昇しているのに対し、消費者物価指数(CPI)として測定される家賃は下落傾向にあります



アベノミクス下で大規模な金融緩和政策が始まった2013年以降、マンション価格指数や市場家賃指数は上昇に転じたのに、CPI指数は下落
この相違の理由は、実際に住宅家賃が下落しているのか、指数作成方法に問題があるかのいずれか。
仮に指数作成方法に問題があり、ゆがんだ物差しで経済の状態を測定しているとすると、経済政策の運営のみならず、広い意味での社会全体での資源配分をゆがませかねません。

これらの数値を出すのに、現在わが国で採用されている「近傍家賃法」にはかねてから様々な問題が指摘されてきました。

①持ち家と借家で品質が大きく異なる
品質の格差を補正することなく、借家市場で決定される家賃から持ち家の帰属家賃を推計しようとすると、本来の費用よりも過少に見積もられている可能性が高くなります

②借家市場での家賃が市場の状態に応じて適切に改定されない
現在の近傍家賃法で用いられる調査方法では、家賃は強い粘着性を持つだけでなく、下方にしか動かないという構造になってしまっています

③経年減価に関して
建物は建築後様々な理由で価値が低下していく為、その対価として支払われる家賃はそうした経済的な減価を含むものとして補正されるべきなのに、現在の計算方法ではその減価が補正されていない為、家賃は下がり続けるという問題が生じています


住宅市場は、財・サービス市場と資産市場の重要な結節点です。
それだけにその物差しにゆがみがあれば、家計・企業の資源配分、金融機関の融資行動、経済政策の運営を誤らせることになりかねません。
住宅関連統計の早急な改善が必要なのではないでしょうか。