2017年8月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング
2017年8月号エスト賃貸経営新聞
外国人の訪日、中長期滞在の増加が賃貸需要を押し上げる
広がり見せる賃貸住宅外国人需要に環境整う
賃貸住宅における外国人対応が喫緊の課題になりつつあります。
もはや身近な生活スペースにこれだけ外国人が増えてくると、特別扱いするべきではないようです。
今後、増加する「外国人入居」にぜひ前向きに取り組みたいものです。
この5月の訪日外国人客数は、前年同月比21.2%増の約2300万人。
昨年5月の約189万人を約40万人以上上回り、5月として過去最高となりました。
また、仕事や学業で日本に中長期の在留者数は平成28年末現在約204万人、特別永住者数は約34万人で、これらを合わせた在留外国人数は約238万人となり、前年末に比べ6.7%増加し、過去最高。
そして、28年における外国人入国者数においても約2322万人と、過去最高となっています。
在留外国人数の都道府県別では、47都道府県総てで前年末の人数を上回っています。
こうした傾向は今後もさらに続くことが予想され、外国人の訪日、中長期滞在の増加は広がると見られています。
私達を取り巻く社会に外国人の方の割合が増えるのですから、自然、賃貸経営の面でもつながりが増えると考えられます。
賃貸住宅の入居者として迎える場合、どのようにお付き合いすればよいのか。
確かに私達は同胞の場合、表情から考え方とか、あるいは人となりを垣間見ることができますが、外国人の場合、そこが今一つはっきり読み取れないことが不安感を膨らませるようです。
しかし、日本人でも外国人でも賃貸住宅に入居する場合、色々な書類を提出していただき、面談してこの人なら間違いないと確信して契約を結びます。
ですから外国人の方でも必要書類を確認することで、身元、人物の判断ができます。
身元確認は書類等でチェック
日本人同様に各証明書を確認
例えば、本人所持の本国政府の渡航許可書であるパスポート、あるいは外国人登録証明書で身分証明できます。
そして学生なら在学証明書、働いているなら勤務先が在職証明する勤務証明書。
収入があることを証明するものとして、日本人同様に源泉徴収票、給与明細書、納税証明書をチェックします。
無職の場合は、銀行の送金証明書、奨学金支給証明書なども必要に応じて提出していただきます。
また、連帯保証人については、適正な連帯保証人が見つからない場合、家賃債務保証サービスを利用することになります。
言葉や生活習慣が違うため、ともすれば一歩引きがちですが、身元確認には書類等でチェックできますので、必要以上に案ずることはないと思われます。
また、国土交通省は、外国人の賃貸住宅への円滑な入居を目的として、実務対応マニュアル「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」を作成しています。
国交省のホームページからダウンロードできます。
新しい賃貸住宅への改造
躯体を生かし建設費を抑えつつ特色打ち出す
入居者ニーズに応えて入居率の向上を果たす
時代とともに賃貸住宅にも新風が一段と吹きこんでいます。
中でも最近目を引くのは築数十年を経た古い建物を用途変更によって賃貸マンションとして建設される事例が相次いでいることです。
物件が古くなるとどうしても競争力が低下して入居率が悪くなります。
対策として経費の負担の小さいリフォームをまず検討します。
一部屋単位ならリフォームでも十分なのですが、建物全体が旧態化すると部分的な対応では入居者ニーズに応えることはできません。
そこで、躯体を生かして大幅な模様替えが行われるのです。
その代表例が建物の柱、壁、床等の躯体を生かしつつ、最新の設備、工法、材料等を取り入れて改造するリノベーションで、築年数の経過した建物がリメークされて賃貸住宅として登場。
その際、ファッション性や付加価値を高めるなど、建物にプラスαの特徴を持たせることに力を入れています。
大手の建設会社もリノベーション賃貸事業に新規参入を図り、賃貸リノベーションのパック商品化を発表しています。
今後の広がりが期待される
リファイニング建築による再生
リノベーションのほか、老朽化したビルや建物を用途転換して、賃貸マンションに改装するコンバージョンがあります。
リフォームを大規模化した改装と捉えられ、斬新なデザインマンション風に、賃貸マンションへの活用が広がっています。
さらには、建物自体の耐震性や耐用年数を補強によって向上させるリファイニング建築による賃貸マンションの差異性が進められています。
既存の躯体を利用してコスト削減を図りながら再生建築するもので、今後の広がりが注目されています。
ニュースフラッシュ
平成28年度「国土交通白書」
わが国の不動産資産額は約2,519兆円
国土交通省は平成28年度の「国土交通白書」を発表しました。
今回の白書は、『イノベーションが切り拓く新時代と国土交通省行政』をテーマに、同省において現在取り組んでいる先進的な事例を紹介しています。
不動産の動向については次の通りまとめられています。
不動産業は、全国産業の売上高の2.8%、法人数の11.4%(平成27年度)を占める重要な産業の一つである。
平成29年1月1日時点の地価公示の結果によると、全国平均では、住宅地は下落から横ばいに転じ、商業地は2年連続の上昇となった。
三大都市圏平均では、住宅地、商業地ともに下落が続いているものの、下落率は縮小している。
既存住宅の流通市場については、指定流通機構(レインズ)の28年度の成約件数が前年度比3.4%増の17.9万件となった。
わが国における不動産の資産額は、平成27年末現在で約2,519兆円。
不動産投資証券の時価総額は約11.9兆円。
日銀データに見る賃貸住宅の新築動向
一服感、供給過剰感がじわりと広がる
日本銀行が3ヵ月に一度開催する支店長会議に合わせて公表する「地域経済報告~さくらレポート~」の7月分から、各地域の賃貸住宅の新築動向とその背景をまとめてみました。
7月10日公表された同レポートによりますと、各地域の景気の総括判断として、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄の6地域で「緩やかに拡大している」「緩やかな拡大に転じつつある」としているほか、北海道、東北、四国の3地域では「緩やかな回復を続けている」としています。
この背景を見ると、海外経済の緩やかな成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費の底堅さが増しているなど、所得から支出への前向きな循環が強まっていることなどが挙げられています。
ところで貸家の建設、需要動向について、「一服感が生じている地域」と「資産運用手段として積極的な投資が続いている地域」、そして「市場性を反映した賃貸住宅の旺盛な需要が見られる地域」の3つの形が主だった時流として見られます。
高利回りが期待できる用地・物件が少なくなっている
例えば、一服感、供給過剰感として、次のような事例が挙げられています。
「貸家では、相続税の節税態対応を目的とした投資に一服感が漂ってきている」(札幌)。
「貸家建設は、災害公営住宅供給の進捗に加え、一部地域では空室率の上昇から供給過剰感がみられており、供給エリアを都市部に絞っていることから、着工数は減少している」(仙台)。
「貸家は、相続税の節税対応を目的とした需要に一服感が生じているほか、資産運用目的の需要についても高利回りが期待できる用地・物件が少なくなっているため、新規受注が減少している」(岡山)。
一方で、潜在的な需要を吸収する事例として、「貸家では、個人資産家による相続税の節税対応としてのアパート建設や、耐震性に不安のある老朽物件の建て替えもみられている」(名古屋)。
「相続税の節税対応や資産運用手段として貸家を建築する動きが続いているものの、郊外では空室率が上昇しており、着工ペースは鈍化している」(神戸)などがあります。
今後、地域による特性がありますが、このような一服感、供給過剰感を反映した軌道修正が行われるとみられます。
賃貸経営ワンポイントアドバイス
5年先の「生産緑地の2022年問題」
不動産市場が不安定になる恐れ
農地が大量に供給される予測
まだ少し時間があるのですが、2020年の東京オリンピックが終わった2年後に「生産緑地の2020年問題」が起きると見られています。
5年先のことですが、賃貸経営にも関係する事ですから、該当するオーナー様は今から問題点のポイントを理解しておきましょう。
生産緑地とは市街化区域内の500平方メートル以上の農地で、平成3年の法改正により営農継続の意思があれば30年間、農地等として管理することで宅地への転換ができない土地です。
固定資産税の宅地並みが農地並みに軽減され、相続税も納税猶予が受けられます。
指定から30年間を経過するのが2022年で、この時期、生産緑地として継続するか、解除するかの選択が求められます。
5年先に迫ってきた「生産緑地の2022年問題」のポイントは、2022年に生産緑地の農地が宅地として大量に市場に供給される、もしくは宅地化供給の圧迫の要因になることが予測されることです。
もし、多くの生産緑地が売りに出されると、不動産価格が不安定になって、市場が大きな影響を受ける懸念が広がります。
今後、不動産市場が不安定になる恐れが考えられるので、これから土地を売買したり、あるいは賃貸住宅を建てようと計画されている場合、十分な配慮が求められます。
まだ少し時間がありますが、今から準備しても決して早くありません。
5年先には宅地供給の増大が起きることを想定して計画しましょう。
生産緑地の所有者の2022年問題の対応策としては、まず一つに農地としてそのまま利用する、二つ目は生産緑地を解除して何らかの活用を図る、そして三つ目が売却する、この三つの選択肢があります。
2022年問題といわれる通り、一気に表面化するためどの方法をとるにしても周辺の事情、市場動向をしっかり見極めることが求められます。
過去の記事はこちらから
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広がり見せる賃貸住宅外国人需要に環境整う
賃貸住宅における外国人対応が喫緊の課題になりつつあります。
もはや身近な生活スペースにこれだけ外国人が増えてくると、特別扱いするべきではないようです。
今後、増加する「外国人入居」にぜひ前向きに取り組みたいものです。
この5月の訪日外国人客数は、前年同月比21.2%増の約2300万人。
昨年5月の約189万人を約40万人以上上回り、5月として過去最高となりました。
また、仕事や学業で日本に中長期の在留者数は平成28年末現在約204万人、特別永住者数は約34万人で、これらを合わせた在留外国人数は約238万人となり、前年末に比べ6.7%増加し、過去最高。
そして、28年における外国人入国者数においても約2322万人と、過去最高となっています。
在留外国人数の都道府県別では、47都道府県総てで前年末の人数を上回っています。
こうした傾向は今後もさらに続くことが予想され、外国人の訪日、中長期滞在の増加は広がると見られています。
私達を取り巻く社会に外国人の方の割合が増えるのですから、自然、賃貸経営の面でもつながりが増えると考えられます。
賃貸住宅の入居者として迎える場合、どのようにお付き合いすればよいのか。
確かに私達は同胞の場合、表情から考え方とか、あるいは人となりを垣間見ることができますが、外国人の場合、そこが今一つはっきり読み取れないことが不安感を膨らませるようです。
しかし、日本人でも外国人でも賃貸住宅に入居する場合、色々な書類を提出していただき、面談してこの人なら間違いないと確信して契約を結びます。
ですから外国人の方でも必要書類を確認することで、身元、人物の判断ができます。
身元確認は書類等でチェック
日本人同様に各証明書を確認
例えば、本人所持の本国政府の渡航許可書であるパスポート、あるいは外国人登録証明書で身分証明できます。
そして学生なら在学証明書、働いているなら勤務先が在職証明する勤務証明書。
収入があることを証明するものとして、日本人同様に源泉徴収票、給与明細書、納税証明書をチェックします。
無職の場合は、銀行の送金証明書、奨学金支給証明書なども必要に応じて提出していただきます。
また、連帯保証人については、適正な連帯保証人が見つからない場合、家賃債務保証サービスを利用することになります。
言葉や生活習慣が違うため、ともすれば一歩引きがちですが、身元確認には書類等でチェックできますので、必要以上に案ずることはないと思われます。
また、国土交通省は、外国人の賃貸住宅への円滑な入居を目的として、実務対応マニュアル「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」を作成しています。
国交省のホームページからダウンロードできます。
新しい賃貸住宅への改造
躯体を生かし建設費を抑えつつ特色打ち出す
入居者ニーズに応えて入居率の向上を果たす
時代とともに賃貸住宅にも新風が一段と吹きこんでいます。
中でも最近目を引くのは築数十年を経た古い建物を用途変更によって賃貸マンションとして建設される事例が相次いでいることです。
物件が古くなるとどうしても競争力が低下して入居率が悪くなります。
対策として経費の負担の小さいリフォームをまず検討します。
一部屋単位ならリフォームでも十分なのですが、建物全体が旧態化すると部分的な対応では入居者ニーズに応えることはできません。
そこで、躯体を生かして大幅な模様替えが行われるのです。
その代表例が建物の柱、壁、床等の躯体を生かしつつ、最新の設備、工法、材料等を取り入れて改造するリノベーションで、築年数の経過した建物がリメークされて賃貸住宅として登場。
その際、ファッション性や付加価値を高めるなど、建物にプラスαの特徴を持たせることに力を入れています。
大手の建設会社もリノベーション賃貸事業に新規参入を図り、賃貸リノベーションのパック商品化を発表しています。
今後の広がりが期待される
リファイニング建築による再生
リノベーションのほか、老朽化したビルや建物を用途転換して、賃貸マンションに改装するコンバージョンがあります。
リフォームを大規模化した改装と捉えられ、斬新なデザインマンション風に、賃貸マンションへの活用が広がっています。
さらには、建物自体の耐震性や耐用年数を補強によって向上させるリファイニング建築による賃貸マンションの差異性が進められています。
既存の躯体を利用してコスト削減を図りながら再生建築するもので、今後の広がりが注目されています。
ニュースフラッシュ
平成28年度「国土交通白書」
わが国の不動産資産額は約2,519兆円
国土交通省は平成28年度の「国土交通白書」を発表しました。
今回の白書は、『イノベーションが切り拓く新時代と国土交通省行政』をテーマに、同省において現在取り組んでいる先進的な事例を紹介しています。
不動産の動向については次の通りまとめられています。
不動産業は、全国産業の売上高の2.8%、法人数の11.4%(平成27年度)を占める重要な産業の一つである。
平成29年1月1日時点の地価公示の結果によると、全国平均では、住宅地は下落から横ばいに転じ、商業地は2年連続の上昇となった。
三大都市圏平均では、住宅地、商業地ともに下落が続いているものの、下落率は縮小している。
既存住宅の流通市場については、指定流通機構(レインズ)の28年度の成約件数が前年度比3.4%増の17.9万件となった。
わが国における不動産の資産額は、平成27年末現在で約2,519兆円。
不動産投資証券の時価総額は約11.9兆円。
日銀データに見る賃貸住宅の新築動向
一服感、供給過剰感がじわりと広がる
日本銀行が3ヵ月に一度開催する支店長会議に合わせて公表する「地域経済報告~さくらレポート~」の7月分から、各地域の賃貸住宅の新築動向とその背景をまとめてみました。
7月10日公表された同レポートによりますと、各地域の景気の総括判断として、北陸、関東甲信越、東海、近畿、中国、九州・沖縄の6地域で「緩やかに拡大している」「緩やかな拡大に転じつつある」としているほか、北海道、東北、四国の3地域では「緩やかな回復を続けている」としています。
この背景を見ると、海外経済の緩やかな成長に伴い、輸出が増加基調にある中で、労働需給が着実に引き締まりを続け、個人消費の底堅さが増しているなど、所得から支出への前向きな循環が強まっていることなどが挙げられています。
ところで貸家の建設、需要動向について、「一服感が生じている地域」と「資産運用手段として積極的な投資が続いている地域」、そして「市場性を反映した賃貸住宅の旺盛な需要が見られる地域」の3つの形が主だった時流として見られます。
高利回りが期待できる用地・物件が少なくなっている
例えば、一服感、供給過剰感として、次のような事例が挙げられています。
「貸家では、相続税の節税態対応を目的とした投資に一服感が漂ってきている」(札幌)。
「貸家建設は、災害公営住宅供給の進捗に加え、一部地域では空室率の上昇から供給過剰感がみられており、供給エリアを都市部に絞っていることから、着工数は減少している」(仙台)。
「貸家は、相続税の節税対応を目的とした需要に一服感が生じているほか、資産運用目的の需要についても高利回りが期待できる用地・物件が少なくなっているため、新規受注が減少している」(岡山)。
一方で、潜在的な需要を吸収する事例として、「貸家では、個人資産家による相続税の節税対応としてのアパート建設や、耐震性に不安のある老朽物件の建て替えもみられている」(名古屋)。
「相続税の節税対応や資産運用手段として貸家を建築する動きが続いているものの、郊外では空室率が上昇しており、着工ペースは鈍化している」(神戸)などがあります。
今後、地域による特性がありますが、このような一服感、供給過剰感を反映した軌道修正が行われるとみられます。
賃貸経営ワンポイントアドバイス
5年先の「生産緑地の2022年問題」
不動産市場が不安定になる恐れ
農地が大量に供給される予測
まだ少し時間があるのですが、2020年の東京オリンピックが終わった2年後に「生産緑地の2020年問題」が起きると見られています。
5年先のことですが、賃貸経営にも関係する事ですから、該当するオーナー様は今から問題点のポイントを理解しておきましょう。
生産緑地とは市街化区域内の500平方メートル以上の農地で、平成3年の法改正により営農継続の意思があれば30年間、農地等として管理することで宅地への転換ができない土地です。
固定資産税の宅地並みが農地並みに軽減され、相続税も納税猶予が受けられます。
指定から30年間を経過するのが2022年で、この時期、生産緑地として継続するか、解除するかの選択が求められます。
5年先に迫ってきた「生産緑地の2022年問題」のポイントは、2022年に生産緑地の農地が宅地として大量に市場に供給される、もしくは宅地化供給の圧迫の要因になることが予測されることです。
もし、多くの生産緑地が売りに出されると、不動産価格が不安定になって、市場が大きな影響を受ける懸念が広がります。
今後、不動産市場が不安定になる恐れが考えられるので、これから土地を売買したり、あるいは賃貸住宅を建てようと計画されている場合、十分な配慮が求められます。
まだ少し時間がありますが、今から準備しても決して早くありません。
5年先には宅地供給の増大が起きることを想定して計画しましょう。
生産緑地の所有者の2022年問題の対応策としては、まず一つに農地としてそのまま利用する、二つ目は生産緑地を解除して何らかの活用を図る、そして三つ目が売却する、この三つの選択肢があります。
2022年問題といわれる通り、一気に表面化するためどの方法をとるにしても周辺の事情、市場動向をしっかり見極めることが求められます。
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