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2018年2月号エスト賃貸経営新聞

2018年推計「日本の世帯数の将来推計(全国推計)
5419万世帯をピークに、257万世帯減少を推計


賃貸住宅の需要と密接な関係にある「世帯数」の将来を予測する2018(平成30)年推計の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」が、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所から1月12日、公表されました。
将来の賃貸市場を占うものだけに、注目されます。

この推計は5年ごとに実施されており、今回は2015年の国勢調査を基に、2015~40年の25年間の将来の世帯数を推計しています。

まず人口についてですが、日本の総人口は今後長期にわたって減少が続き、一般世帯人員は2015年の1億2430万人から毎年減少し、25年先の2040年は1億570万人と、2015年に比べ1860万人少ないと推計しています。

住宅ニーズに直結する、気になる世帯総数の動きは、2015年の5333万世帯から2023年まで増加を続け、5419万世帯でピークを迎え、その後は減少に転じ、2040年の一般世帯総数は5046万世帯まで減る、としています。

つまり、後5年で86万世帯増えた後、それを頂点に、22年先には2015年に比べ、257万世帯少なくなるというもので、劇的ともいえる変化を予測しています。

住宅市場のニーズを支える分母数が5%強減少するということです。
ただ、あくまでも全国推計の統計ですから、地域レベルの賃貸市場とは同一に見られません。

人口減少局面に入っても世帯数が増加を続けることは、世帯規模の縮小が続くことを指し、一般世帯の平均世帯人員は2015年の2.33人から2040年の2.08人まで減少を続けます。
ただし、変化の速度は次第に緩やかになると見込まれています。

また、2015~40年の間に「単独」世帯は34.5%から39.3%、「夫婦のみ」は20.2%から21.1%、「ひとり親と子」は8.9%から9.7%と割合が上昇。
一方で、かつて40%以上を占めた夫婦と子は26.9%から23.3%に、「その他」は9.5%から6.6%と低下しています。

影響は少なくないので、今から20余年先に備える

家族累計型が変化し始めるのですから、住宅の間取りにも変化が及んでいくはずです。

わが国の人口が減少する中、世帯数は昭和60年以降一貫して伸びてきました。
増大する世帯の住宅需要を吸収してきたのが主に賃貸住宅です。
また、人口が減少する中、世帯数の伸びが賃貸経営を底支えてきたともいえます。
それが、257万世帯減少するとなると、やはり影響は少なくないといえそうです。

22年ほど先の予測だけに、若干の差異が生じても大きなうねりとして世帯数の減少にいよいよ直面せざるを得ないということになります。
今から日頃の賃貸経営にも、20余年先を見据えて手を打っておくことが求められるところです。




「全国賃貸市場最新動向」
貸家の建築ニーズにも一服感が見られ
今後は賃貸住宅の供給を厳選する動き



賃貸住宅の新設にブレーキがかかってほぼ半年が経ちます。
年が明けた賃貸住宅市場においてもそうした影響が少しずつ現れているようです。

ここ半年、賃貸住宅の新設が落ち込み、昨年11月分のデータを見ると、貸家の新設は前年同月比で6ヵ月連続で減少しています。
この傾向は大都市圏を始め、全国の都市に共通し、大半の地域で前年比で減少しています。

それを裏付けるように、1月12日付の、日本銀行から3ヵ月に一度公表される地域経済報告「さくらレポート」(2018年1月)に、こうした減少傾向の背景がまとめられています。

「貸家の着工は、相続税の節税対応や資産運用手段として高水準で推移しているものの、郊外での空室率上昇などから着工ペースは鈍化している」(大阪・神戸)。
「満室になるまでの期間が幾分長くなってきている事例がみられることもあって、低金利や相続税に節税目的による貸家の建築ニーズにも一服感が出てきている」(静岡)。
「これまでの貸家着工の急増の結果、家賃相場や入居率が低下傾向にあるため、今後は賃貸住宅の供給を厳選する必要がある」(新潟)。

これからは地域の需要動向に見合った新築が市場に出回る

大阪、静岡、新潟で見られる現象ですが、これもほぼ全国共通した出来事だと思われます。
ただ、11月分の貸家の新設も前年と比較して減少となっていますが、毎月新設される貸家の個数は決して小さいものではなく、11月は約3万6千戸と、過去12ヵ月で3番目の規模となっています。

過去3年近い賃貸住宅の新設ラッシュが落ち着けば、これからは地域の需要動向に見合った新築が市場に出回ると見られます。




ニュースフラッシュ
国土交通省公表の「マンション・アパート」(一棟)の価格指標が顕著な伸び見せる


「マンション・アパート」の評価判断として、国土交通省が公表する不動産価格指数が参考になります。
最近では平成29年第3四半期(10月1日~12月31日)分の「不動産価格指数」(商業用不動産)の「マンション・アパート」(一棟)が、対前年同期比6.2%増の137.9となりました。

都市圏別に見ると、三大都市圏以外の地域が同4.7%の143.9、埼玉・千葉・東京・神奈川の南関東圏が同8.3%の133.2。
全国の商業不動産総合の不動産価格指数が119.4ですから、マンション・アパート(一棟)の伸びが群を抜いています。
この不動産価格指数は国際指針に基づき、不動産市場価格の動向を表すものとして、同省が作成しているものです。
指数は平成22年の平均を100とし、100を下回っているのは過去10年間の間、9四半期のみで、あとは100を超えています。
とくにここ3年は平均の5.6%の高い伸びを見せています。
こうした指数を見ると、マンション・アパートの価値水準が理解されます。




注目集める「新住宅セーフティネット法」
社会的要請のもと国の積極姿勢で運営


生活の基礎となる住居の確保に配慮した「新住宅セーフティネット法」が昨年スタートしました。
高齢社会の深まりとともに、在留外国人等の新しいニーズが目立っているだけに、国も積極姿勢です。

新しい住宅セーフティネット法に関する記事を何度か掲載していますが、まだまだ関心が薄い上に、認知度も低いようですので、改めて法案に対する主だった内容を紹介します。

新住宅セーフティネット法の狙いは、高齢者、低額所得者、子育て世代、障害者、被災者などの住宅の確保にとくに配慮を要する人達(住宅確保要配慮者)の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度を創設して、住宅セーフティネット機能の強化を図るというものです。

物件の所有者が都道府県等に登録し、各自治体が物件情報を提供する仕組みで、2020年度末に登録戸数を全国で17万5千戸確保する計画です。
3年間で17万5千戸の登録戸数を確保するために、改修費の補助や家賃債務保証料、家賃低廉化の補助を見込んでいます。
さらに、国土交通省では、新住宅セーフティネット制度の開始に伴い、「家賃債務保証業者登録制度」を創設し、家賃債務保証業を適正かつ確実に実施する、と強調しています。

また、不動産関係団体などの居住支援協議会の活動に国が補助して、住宅情報の提供、相談の実施等の業務を支援します。

新制度運用の本格稼働で、新しいマーケットが見込まれる

国土交通省のデータによりますと、貸主の入居拒否感が強いのは、単身の高齢者、生活保護受給者、高齢者のみの世帯、一人親世帯とされています。
例えば、単身高齢者について今後10年間で100万世帯の増加が見込まれ、このうち賃貸住宅入居は22万人と見られています。

賃貸住宅の場合、一度入居が始まると入居者は義務とともに権利が生じることから、住宅確保要配慮者に対して慎重な姿勢が見受けられます。

慎重さの背景には家賃滞納、孤独死、子どもの事故、騒音等のトラブルへの不安があります。
一方、国としては安心して暮らせる住宅の確保に努めていることから、住宅セーフティネット機能の強化を重要な政策課題としています。

いよいよ新法案がスタートし、運用が本格的に稼働すれば、賃貸住宅の新しいマーケットが見込まれることから、今後の動向に注目したいと思います。




ちょっと一服
これから3ヵ月忙しくなります
携帯電話は必ずお持ちください



インターネット上の仮想通貨ビットコインの話題を先月号で取り上げたところ、年が明けてA社から仮想通貨で不動産売買ができる新サービスを開始した、と発表されました。
時代のスピードと新サービスの多様な広がりにちょっと驚いています。

景況感「良好」のもと、新春賃貸商戦がスタートを切りました。
テレビでも不動産情報のポータルサイト系各社のCMが数々流れて、市場の賑わいを見せています。

そして、私たちの本業の賃貸ビジネスにおきましても2月から3月いっぱい、4月中頃まで大忙しとなります。
賃貸市場は例年通り、年明けから新春にかけて集中的に部屋を探すお客様が訪れますので、私どもはここ一番全力で契約に走り回ります。

オーナー様におかれましても、入居者を迎えて建物、敷地周辺の清掃、補修・修繕等の準備、手配をお願いします。
空室確認、条件等の最終打ち合わせでご連絡させていただきますので、携帯電話は必ずお持ちください。
これから3ヵ月忙しくなりますが、ご協力をお願いいたします。




部屋を探すお客様の希望の要項
欲しい設備は「エアコン付き」「都市ガス」「TVモニター付インターフォン」が上位


新春繁忙期の今、市場の実態と入居者の動向の理解を深めるために、昨年秋に、リクルートカンパニーから公表されたデータ「2016年度賃貸契約者に見る部屋探しの実態調査(首都圏版)」が、参考になると思い、要点をまとめてみました。

首都圏における調査結果ですが、内容的には他府県にも共通すると考えられます。
調査は「2016年度に賃貸物件を契約した人の公道実態を把握すること」を目的に2017年5月17日~6月26日、実施したものです。

ポイントは次の内容です。
部屋を探すお客様の希望の要項がほぼストレートに表れているようです。

「間取り」「設備」「内装」が優先

部屋探しは、開始から契約するまでの期間が、平均18.7日。
過去3年で最短となっており、8割以上の人が「1日~30日(1ヵ月)」で契約をしています。

通勤時間は「30分未満」が3割弱を占め、平均40.5分で、これも過去3年で最短。
さらに、「駅からの距離」より、「間取り」「設備」「内装」を優先し、「耐震性」「外装」「遮音性」「断熱・省エネ性」は、優先度が低くなっています。

また、引っ越す時に欲しい設備は「エアコン付き」「都市ガス」「TVモニター付インターフォン」が上位を占め、昨年より「Wi-Fi」「浴室乾燥機能」「宅配BOX」などの必要度が高まっています。

魅力を感じる付帯サービスとしては、「家賃ポイントシステム」が1位で、「エアコンの定期清掃サービス」「クレジットカード決済サービス」の魅力度も高いようです。
年代別では年代の若い層は『クリーニング関連サービス』に魅力を感じやすくなっています。

いかがでしょうか。
ポイントだけをまとめてみましたが、今の入居者の希望する要項がストレートに表れているようです。




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