2018年5月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング
2018年5月号エスト賃貸経営新聞
賃貸住宅経営を取り囲む市場環境と足元好調な景気概況
貸家の投資は一服感がみられる減少基調
清々しい季節を迎えました。
景気に大きく左右されない賃貸経営ですが、その景気がここへきて微妙な山場に差しかかったようです。
また、民法改正の準備が着々と進んでいます。
そこで、賃貸住宅市場を取り巻くここ1ヵ月の主だった動きをまとめてみました。
内閣府が発表した3月の景気ウォッチャー調査(街角景気)によると、「3ヵ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは、前月比0.3ポイント上昇の48.9で、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、人手不足、コストの上昇、海外情勢等に対する懸念もある一方、引き続き受注、設備投資等への期待がみられる」と、景気の回復基調をまとめています。
日本銀行が4月12日に公表した「地域経済報告(さくらレポート)」によると、各地域の景気の総括判断は、6地域で「拡大している」「緩やかに拡大している」としているほか、3地域では「緩やかな回復を続けている」としています。
各地域の賃貸住宅の投資傾向を次のように報告しています。
「資産家による相続税の節税目的のアパート建設需要に一服感がみられるほか、金融機関の融資姿勢も厳格化している印象があり、着工は弱含んでいる」(名古屋)。
「貸家は、新築物件の入居ペースが鈍く、空室率が上昇しているため、このところ減少基調にある」(岡山)。
また、帝国データバンクが公表した3月調査の「TDB景気動向調査(全国)」結果によると、「3月の景気DIは前月比0.1ポイント増の50.4となり、2ヵ月ぶりに改善した。
国内景気は、輸出の好調や年度末需要がプラスとなった一方で、住宅建設の減少に加え、原材料価格が高水準で推移したことなども響き、足踏み状態となった」と捉えています。
不動産情報サービスのアットホームが発表した1都3県・首都圏における2月期の居住用賃貸物件の市場動向によると、2月の賃貸物件成約数は2万5869件で、前年同月比3.4%減少し、2ヵ月連続のマイナス。
成約の44%を占める東京23区が同9カ月ぶりに減少したことで、首都圏全体の減少幅が拡大しています。
民法改正を踏まえて「賃貸住宅標準契約書」改定
ところで、国土交通省はこのほど、2020年4月1日に予定されている民法改正や近年の家賃債務保証業者を利用した契約の増加を踏まえて、「家賃債務保証業者型」や「極度額の記載欄」を設けた賃貸住宅契約書のひな形とされる「賃貸住宅標準契約書」を改定しました。
同時に、「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」も改定しました。
賃料の改定時期の明確化、サブリース業者から契約を解約できない期間の設定、賃貸不動産経営管理士等記名押印欄の追加、転貸の条件項目への民泊の可否に関する事項の追加など、賃貸住宅管理業者登録制度をはじめ、現在を取り巻く環境の変化等を踏まえたもので、原状回復や敷金返還の基本的ルールの明記等その他の民法改正の内容が反映されています。
賃貸事業に積極姿勢の鉄道会社
賃貸マンションの新ブランドを立ち上げ
自社の沿線中心に積極展開する動き加速
古くから多くの鉄道会社は沿線の不動産事業に積極的で、不動産開発専門の別会社を設立して地域の開発に取り組んできました。
沿線の付加価値を高めるブランド志向の乗降客の増大を狙った分譲マンション・住宅、商業施設といった不動産市場のニーズにも意欲的に応えたものです。
それがここへきて分譲関連のマーケットにおいて、かつての勢いが弱まっていることや人口減少、空き家問題などに対応するために、不動産事業の多角化を進める動きが顕著になっています。
駅施設や社員寮の再活用、空き家のリノベーション、賃貸住宅の新規建設などが相次いでいるものです。
東武鉄道の場合、賃貸マンションの新ブランドを立ち上げ、沿線中心に展開するブランドを打ち出しています。
今後も、新規開発やリノベーションなどにより沿線におけるさらなる賃貸マンションの開発を進める意向です。
京浜急行は、事業戦略の重点テーマの一つとして「賃貸事業・マンション分譲事業の戦略展開」を掲げており、販売のみならず、管理、リノベーション、リフォーム事業等を強化しています。
交通インフラを絡めた不動産
投資賃貸ビジネスを展開
小田急不動産は、小田急沿線、東京都心部エリアを中心に、賃貸マンションをはじめ、不動産開発事業を積極的に推進する意向で、賃貸マンションブランドをシリーズ化しています。
3社の事例を取り上げましたがこうした動きは他社に共通しており、鉄道会社は自前の交通機関を持っていることから、交通インフラを活用した不動産投資、賃貸ビジネスが展開しやすく、今後、さらに拍車がかかると見られます。
ニュースフラッシュ
「平成30年の地価公示結果」
全国的に広くゆるやかな地価の回復傾向
一般の土地の取引き価格に対して指標となり、不動産鑑定の基準となる地価公示の平成30年の結果が発表されました。
毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示するものです。
今年は全国的に、広くゆるやかな地価の回復傾向が明らかとなりました。
全国の住宅平均が10年ぶりに上昇し、商業地、全用途平均は3年連続の上昇となっています。
三大都市圏では、住宅地・商業地平均ともに東京圏・大阪圏・名古屋圏で上昇。
地方圏では、商業地の平均が26年ぶりに上昇し、全用途平均でも26年ぶりに横ばいで、住宅地の平均では下落幅の縮小が継続しています。
こうした背景としては、全国的に雇用・所得環境が改善する中で、利便性の高い地域を中心に住宅地の地価が回復していることや、外国人観光客の増加による店舗・ホテル需要の高まりなどが影響して、商業地の地価が総じて堅調に推移していることなどが挙げられています。
家賃債務保証業者の損害額や明渡し等の調査結果
未納家賃等の損害回収には大きな負担
国土交通省は、3月の「賃貸住宅標準契約書」の改定に当たって実施した「家賃債務保証業者に対する損害額の調査」等の結果を公表しましたが、家賃滞納や未払い家賃の実態がよく表れています。
公表されたのは、「家賃債務保証業者に対する損害額の調査」のほか、「家賃滞納発生に係わる調査」と「裁判所の判決における連帯保証人の負担額に係わる調査」結果です。
「家賃債務保証業者に対する損害額の調査」は、家賃債務保証業者が借主に代わって、貸主に支払った滞納家賃等のうち、借主に求償しても回収することができなかった損害額を調査したもので、賃料帯を4万円未満~40万円以下の8つに設定し、集計しています。
賃料4万円未満の物件の損害額では、10万円未満が44.5%、30万円未満が80%、中央値は11.5万円、平均値は17.7万円、最高額は178.4万円。
賃料4万~8万円未満の物件の損害額では、20万円未満が51.9%、40万円未満が75.7%、中央値は19万円、平均値は28.2万円、最高額は346万円。
賃料8万~12万円未満の物件の損害額では、30万円未満が43.3%、70万円未満が74.6%、中央値は35.6万円、平均値は50万円、最高額は418.6万円
連帯保証人の負担額は平均で家賃の約13.2ヵ月分
また、「家賃滞納発生に係わる調査」では、家賃滞納が1千件発生したと仮定した場合の家賃滞納から1ヵ月経過時点の回収状況、合意解約を提案する時期・件数、明渡し完了までの平均的な期間、未納家賃の回収状況、訴訟を提起する時期・件数、判決確定までの状況などを調査。
滞納発生後の未納家賃回収の取り組みは、1案件につき電話連絡2.7回、書面等の送付1.2回、訪問0.6回。
1ヵ月経過時点の全額回収は942.9件、分割等一部回収30.1件、未回収27件。
そして、平均9.1ヵ月か以下で、判決確定、強制執行完了が0.8件となり、未納家賃の平均が9..7ヵ月分、強制執行経費平均が50.7万円です。
「裁判所の判決における連帯保証人の負担額に係わる調査」は、裁判所の判決において、民間賃貸住宅における借主の未払い家賃等を連帯保証人の負担として確定した額を調査したものです。
裁判所の判決において、民間賃貸住宅における借主の未払い家賃等を連帯保証人の負担として確定した額は、平均で家賃の約13.2ヵ月分です。
賃貸経営ワンポイントアドバイス
賃貸経営の事業継承を念頭に置けば、やはり相続の準備は必要とされます
40年ぶりに相続法改正
相続は原則、死亡によって開始されます。
相続手続きは法的にも制度的にも難しく、間違いなく行うために、専門家の手を借りて準備は早めにすることが望ましいと、理屈では分かっていても、なかなか手をつけられないものです。
ただ、賃貸住宅の経営の事業継承を念頭に置くのなら、やはり相続の準備は必要とされます。
とくに高齢社会が急速に進み、老老相続が増加する傾向が見られることから、「遺言制度」や「成年後見制度」「家族信託」が注目を集めています。
この3月には40年ぶりとなる相続法改正法案が閣議決定されました。
社会の高齢化を受けて配偶者に配慮したものです。
この改正案の一つとして、「遺言制度」の見直しがあります。
従来、遺言者の自筆で書くことが必要であった自筆証書遺言の財産目録をパソコンで作成することができ、自筆証書遺言を法務局で保管する制度が新設されました。
相続の環境を整備したものです。
諍い事を後に残さないために遺言書を作っておくことも大事ですが、賃貸経営の場合、単に財産目録となる遺言書を作成するだけではなく、経営の現況を正確に伝えることが重要な課題となります。
物件の内訳が整備、管理された状態で残されていることが望ましいのです。
決算書や管理会社の管理報告書などがまとまっていれば、経営の実態が一目で分かるのですが、こうした書類がない場合、物件を突然引き継ぐことになれば、残された家族に混乱と戸惑いが生じることになります。
賃貸経営は他のビジネスの業態と少し違って、相続に際し、物件つまり建物と借主との賃貸借契約の取引き実態が残りますから、単に誰々に財産を相続させる、というだけでは相続税や経営の事業継承面からも禍根を残すことにもなりかねません。
準備しておくことに越したことはありません。(続く)
ちょっと一服
春のシーズンも一段落。
これから季節もよく、お客様の来店は続きます
6月15日から、いよいよ住宅宿泊事業法(民泊新法)が特区の枠にこだわらずに全国でスタート(施行)します。
違法民泊や迷惑行為が駆遂され、年間上限180日の営業日数など、合法民泊がどこまで定着するのか、関係者一同、目を凝らしているところです。
民泊ビジネスは、巨大なインバウンド市場を背景としており、今後、大きな広がりが見込まれます。
それだけに法律を遵守して、市場に軟着陸できるように、工夫に工夫を重ね、試行錯誤の一計を案じた『商品化』が、各方面で手掛けられるのではないでしょうか。
いずれにしろ、一般住宅に旅行者を止める民泊がスタートを切りますが、これからの賃貸住宅市場にどのような影響を与えるのか、注意して見守っていきたいと思います。
春のシーズンも一段落となりましたが、これから季節もよく、5月の連休明けから梅雨の始まる6月にかけて、部屋を探すお客様の来店が続きます。
契約に至らなかった物件に関しては、趣向を凝らしてお客様を呼び込みたいと思っております。
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貸家の投資は一服感がみられる減少基調
清々しい季節を迎えました。
景気に大きく左右されない賃貸経営ですが、その景気がここへきて微妙な山場に差しかかったようです。
また、民法改正の準備が着々と進んでいます。
そこで、賃貸住宅市場を取り巻くここ1ヵ月の主だった動きをまとめてみました。
内閣府が発表した3月の景気ウォッチャー調査(街角景気)によると、「3ヵ月前と比較しての景気の現状に対する判断DIは、前月比0.3ポイント上昇の48.9で、緩やかな回復基調が続いている。先行きについては、人手不足、コストの上昇、海外情勢等に対する懸念もある一方、引き続き受注、設備投資等への期待がみられる」と、景気の回復基調をまとめています。
日本銀行が4月12日に公表した「地域経済報告(さくらレポート)」によると、各地域の景気の総括判断は、6地域で「拡大している」「緩やかに拡大している」としているほか、3地域では「緩やかな回復を続けている」としています。
各地域の賃貸住宅の投資傾向を次のように報告しています。
「資産家による相続税の節税目的のアパート建設需要に一服感がみられるほか、金融機関の融資姿勢も厳格化している印象があり、着工は弱含んでいる」(名古屋)。
「貸家は、新築物件の入居ペースが鈍く、空室率が上昇しているため、このところ減少基調にある」(岡山)。
また、帝国データバンクが公表した3月調査の「TDB景気動向調査(全国)」結果によると、「3月の景気DIは前月比0.1ポイント増の50.4となり、2ヵ月ぶりに改善した。
国内景気は、輸出の好調や年度末需要がプラスとなった一方で、住宅建設の減少に加え、原材料価格が高水準で推移したことなども響き、足踏み状態となった」と捉えています。
不動産情報サービスのアットホームが発表した1都3県・首都圏における2月期の居住用賃貸物件の市場動向によると、2月の賃貸物件成約数は2万5869件で、前年同月比3.4%減少し、2ヵ月連続のマイナス。
成約の44%を占める東京23区が同9カ月ぶりに減少したことで、首都圏全体の減少幅が拡大しています。
民法改正を踏まえて「賃貸住宅標準契約書」改定
ところで、国土交通省はこのほど、2020年4月1日に予定されている民法改正や近年の家賃債務保証業者を利用した契約の増加を踏まえて、「家賃債務保証業者型」や「極度額の記載欄」を設けた賃貸住宅契約書のひな形とされる「賃貸住宅標準契約書」を改定しました。
同時に、「サブリース住宅原賃貸借標準契約書」も改定しました。
賃料の改定時期の明確化、サブリース業者から契約を解約できない期間の設定、賃貸不動産経営管理士等記名押印欄の追加、転貸の条件項目への民泊の可否に関する事項の追加など、賃貸住宅管理業者登録制度をはじめ、現在を取り巻く環境の変化等を踏まえたもので、原状回復や敷金返還の基本的ルールの明記等その他の民法改正の内容が反映されています。
賃貸事業に積極姿勢の鉄道会社
賃貸マンションの新ブランドを立ち上げ
自社の沿線中心に積極展開する動き加速
古くから多くの鉄道会社は沿線の不動産事業に積極的で、不動産開発専門の別会社を設立して地域の開発に取り組んできました。
沿線の付加価値を高めるブランド志向の乗降客の増大を狙った分譲マンション・住宅、商業施設といった不動産市場のニーズにも意欲的に応えたものです。
それがここへきて分譲関連のマーケットにおいて、かつての勢いが弱まっていることや人口減少、空き家問題などに対応するために、不動産事業の多角化を進める動きが顕著になっています。
駅施設や社員寮の再活用、空き家のリノベーション、賃貸住宅の新規建設などが相次いでいるものです。
東武鉄道の場合、賃貸マンションの新ブランドを立ち上げ、沿線中心に展開するブランドを打ち出しています。
今後も、新規開発やリノベーションなどにより沿線におけるさらなる賃貸マンションの開発を進める意向です。
京浜急行は、事業戦略の重点テーマの一つとして「賃貸事業・マンション分譲事業の戦略展開」を掲げており、販売のみならず、管理、リノベーション、リフォーム事業等を強化しています。
交通インフラを絡めた不動産
投資賃貸ビジネスを展開
小田急不動産は、小田急沿線、東京都心部エリアを中心に、賃貸マンションをはじめ、不動産開発事業を積極的に推進する意向で、賃貸マンションブランドをシリーズ化しています。
3社の事例を取り上げましたがこうした動きは他社に共通しており、鉄道会社は自前の交通機関を持っていることから、交通インフラを活用した不動産投資、賃貸ビジネスが展開しやすく、今後、さらに拍車がかかると見られます。
ニュースフラッシュ
「平成30年の地価公示結果」
全国的に広くゆるやかな地価の回復傾向
一般の土地の取引き価格に対して指標となり、不動産鑑定の基準となる地価公示の平成30年の結果が発表されました。
毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示するものです。
今年は全国的に、広くゆるやかな地価の回復傾向が明らかとなりました。
全国の住宅平均が10年ぶりに上昇し、商業地、全用途平均は3年連続の上昇となっています。
三大都市圏では、住宅地・商業地平均ともに東京圏・大阪圏・名古屋圏で上昇。
地方圏では、商業地の平均が26年ぶりに上昇し、全用途平均でも26年ぶりに横ばいで、住宅地の平均では下落幅の縮小が継続しています。
こうした背景としては、全国的に雇用・所得環境が改善する中で、利便性の高い地域を中心に住宅地の地価が回復していることや、外国人観光客の増加による店舗・ホテル需要の高まりなどが影響して、商業地の地価が総じて堅調に推移していることなどが挙げられています。
家賃債務保証業者の損害額や明渡し等の調査結果
未納家賃等の損害回収には大きな負担
国土交通省は、3月の「賃貸住宅標準契約書」の改定に当たって実施した「家賃債務保証業者に対する損害額の調査」等の結果を公表しましたが、家賃滞納や未払い家賃の実態がよく表れています。
公表されたのは、「家賃債務保証業者に対する損害額の調査」のほか、「家賃滞納発生に係わる調査」と「裁判所の判決における連帯保証人の負担額に係わる調査」結果です。
「家賃債務保証業者に対する損害額の調査」は、家賃債務保証業者が借主に代わって、貸主に支払った滞納家賃等のうち、借主に求償しても回収することができなかった損害額を調査したもので、賃料帯を4万円未満~40万円以下の8つに設定し、集計しています。
賃料4万円未満の物件の損害額では、10万円未満が44.5%、30万円未満が80%、中央値は11.5万円、平均値は17.7万円、最高額は178.4万円。
賃料4万~8万円未満の物件の損害額では、20万円未満が51.9%、40万円未満が75.7%、中央値は19万円、平均値は28.2万円、最高額は346万円。
賃料8万~12万円未満の物件の損害額では、30万円未満が43.3%、70万円未満が74.6%、中央値は35.6万円、平均値は50万円、最高額は418.6万円
連帯保証人の負担額は平均で家賃の約13.2ヵ月分
また、「家賃滞納発生に係わる調査」では、家賃滞納が1千件発生したと仮定した場合の家賃滞納から1ヵ月経過時点の回収状況、合意解約を提案する時期・件数、明渡し完了までの平均的な期間、未納家賃の回収状況、訴訟を提起する時期・件数、判決確定までの状況などを調査。
滞納発生後の未納家賃回収の取り組みは、1案件につき電話連絡2.7回、書面等の送付1.2回、訪問0.6回。
1ヵ月経過時点の全額回収は942.9件、分割等一部回収30.1件、未回収27件。
そして、平均9.1ヵ月か以下で、判決確定、強制執行完了が0.8件となり、未納家賃の平均が9..7ヵ月分、強制執行経費平均が50.7万円です。
「裁判所の判決における連帯保証人の負担額に係わる調査」は、裁判所の判決において、民間賃貸住宅における借主の未払い家賃等を連帯保証人の負担として確定した額を調査したものです。
裁判所の判決において、民間賃貸住宅における借主の未払い家賃等を連帯保証人の負担として確定した額は、平均で家賃の約13.2ヵ月分です。
賃貸経営ワンポイントアドバイス
賃貸経営の事業継承を念頭に置けば、やはり相続の準備は必要とされます
40年ぶりに相続法改正
相続は原則、死亡によって開始されます。
相続手続きは法的にも制度的にも難しく、間違いなく行うために、専門家の手を借りて準備は早めにすることが望ましいと、理屈では分かっていても、なかなか手をつけられないものです。
ただ、賃貸住宅の経営の事業継承を念頭に置くのなら、やはり相続の準備は必要とされます。
とくに高齢社会が急速に進み、老老相続が増加する傾向が見られることから、「遺言制度」や「成年後見制度」「家族信託」が注目を集めています。
この3月には40年ぶりとなる相続法改正法案が閣議決定されました。
社会の高齢化を受けて配偶者に配慮したものです。
この改正案の一つとして、「遺言制度」の見直しがあります。
従来、遺言者の自筆で書くことが必要であった自筆証書遺言の財産目録をパソコンで作成することができ、自筆証書遺言を法務局で保管する制度が新設されました。
相続の環境を整備したものです。
諍い事を後に残さないために遺言書を作っておくことも大事ですが、賃貸経営の場合、単に財産目録となる遺言書を作成するだけではなく、経営の現況を正確に伝えることが重要な課題となります。
物件の内訳が整備、管理された状態で残されていることが望ましいのです。
決算書や管理会社の管理報告書などがまとまっていれば、経営の実態が一目で分かるのですが、こうした書類がない場合、物件を突然引き継ぐことになれば、残された家族に混乱と戸惑いが生じることになります。
賃貸経営は他のビジネスの業態と少し違って、相続に際し、物件つまり建物と借主との賃貸借契約の取引き実態が残りますから、単に誰々に財産を相続させる、というだけでは相続税や経営の事業継承面からも禍根を残すことにもなりかねません。
準備しておくことに越したことはありません。(続く)
ちょっと一服
春のシーズンも一段落。
これから季節もよく、お客様の来店は続きます
6月15日から、いよいよ住宅宿泊事業法(民泊新法)が特区の枠にこだわらずに全国でスタート(施行)します。
違法民泊や迷惑行為が駆遂され、年間上限180日の営業日数など、合法民泊がどこまで定着するのか、関係者一同、目を凝らしているところです。
民泊ビジネスは、巨大なインバウンド市場を背景としており、今後、大きな広がりが見込まれます。
それだけに法律を遵守して、市場に軟着陸できるように、工夫に工夫を重ね、試行錯誤の一計を案じた『商品化』が、各方面で手掛けられるのではないでしょうか。
いずれにしろ、一般住宅に旅行者を止める民泊がスタートを切りますが、これからの賃貸住宅市場にどのような影響を与えるのか、注意して見守っていきたいと思います。
春のシーズンも一段落となりましたが、これから季節もよく、5月の連休明けから梅雨の始まる6月にかけて、部屋を探すお客様の来店が続きます。
契約に至らなかった物件に関しては、趣向を凝らしてお客様を呼び込みたいと思っております。
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