2021年7月号エスト賃貸経営新聞の賃貸経営新聞 | 埼玉の不動産投資・収益物件・建物管理|株式会社エストハウジング
2021年7月号エスト賃貸経営新聞
景気は厳しさが残る中、ワクチン接種による持ち直しに期待感
賃貸経営に関連する骨太の政策が相次いで実現へ
コロナ禍にあって、「心理的瑕疵の取り扱いに関するガイドライン」(案)の公表、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(ひな形)を策定、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の全面施行などの骨太の政策が相次いで打ち出されています。
賃貸や売買の不動産取引に際して、当該不動産で過去に生じた人の死に関する心理的瑕疵について、国土交通省は初めてとなる指針案、「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)を公表しました。
詳しくは2面で取り上げています。
そして、同省は心理的瑕疵に関連して、単身高齢者の居住の安定確保を図るため、賃借人の死亡後に契約関係及び居室内に残された家財(残置物)を円滑に処理できるように、賃貸借契約の解除と残置物の処理に関する「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(ひな形)を策定し、公表しました。
昨年6月、賃貸住宅市場の整備を図る「賃貸住宅管理業法」が制定され、昨年12月の「サブリース業法と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置」に続いて、この6月15日に「賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設」が施行されました。
これで、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が全面施行となり、賃貸管理の充実化とともに、管理の社会的信頼度が高まったものです。
ところで、賃貸市場を取り巻く景気動向ですが、景気の指標となっている内閣府の6月公表の景気ウォッチャー調査では、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる。先行きについては、感染症の動向を懸念しつつも、ワクチン接種の進展等による持ち直しへの期待がみられる」とまとめています。
新年度スタートの4月も
全国の人口移動は大幅に減少
また、(株)帝国データバンクの5月調査は「5月の景気DIは、前月比0.8ポイント減の37.5となり、4ヵ月ぶりに悪化した。国内景気は、感染症拡大防止対策で人流抑制が図られたことで、4ヵ月ぶりの悪化となった。今後は下振れリスクも多く一時的に悪化するものの、徐々に上向いていくとみられる。業界別で不動産DIは、前月比1.4ポイント減の39.4」としています。
国土交通省が発表した4月の貸家の新設着工は、前年同月比13.6%増の約2万9千戸で、2ヵ月連続の増加となりました。
公的資金による貸家は減少したが、民間資金による貸家は増加したため、貸家全体で増加となったものです。
このまま賃貸住宅の増設傾向が定着するのか、注目されるところです。
総務省が発表した4月の全国の市区町村間・都道府県間・都道府県内の各移動者数は、全て前年同月に比べ減少となっています。
新年度スタートの4月もコロナ禍の影響を受け、人口移動は大幅に減少したものです。
ニュースフラッシュ
令和3年3月末時点における住宅宿泊仲介業者が取り扱う民泊物件大幅減少
コロナ禍によってインバウンド需要が大きな落ち込みを見せていますが、国土交通省の観光庁はこのほど、令和3年3月末時点における住宅民泊仲介業者が取り扱う民泊物件の推移についての取りまとめを発表しました。
それによりますと、令和3年3月31日時点での住宅宿泊仲介業者等89社と届出住宅の取扱い旅行業者6社の計95社が取り扱う民泊物件数は、延べ11万2,878件となっています。
住宅宿泊仲介業者が取り扱う民泊物件数の推移を見ますと、平成30年の住宅宿泊事業法の施行時点が2万4,938件で、令和元年9月末に9万6,648件、翌年9月末には11万8,099件と増加していたのが、この半年間で5,221件の減少となりました。
住宅宿泊仲介業者が取り扱う民泊物件の内訳は、住宅宿泊業法に基づく届出住宅が3万7,679件、旅館業法に基づく旅館・ホテル、簡易宿所が6万263件、特区民泊の認定施設が1万4,787件、その他149件の合計11万2,878件です。
「心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)
「事故物件」の告知に初指針案を公表
国土交通省は、「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)を公表しました。
今後、パブリックコメントの意見等を参考に、採取的な内容を決める意向。
売買や賃貸などの不動産取引に際して、当該不動産で過去に生じた人の死に関する心理的瑕疵についての適切な告知や取り扱いに係る判断基準がなく、取引現場の判断が難しいことから円滑な流通、安心できる取引が阻害されているとの指摘が早くから寄せられていました。
こうしたことを受けて、国土交通省では、過去に人の死が生じた不動産において、当該不動産の取引に際して宅地建物取引業者が取るべき対応に関し、宅地建物取引業法上負うべき責務の解釈についてガイドラインを定めるため、不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会を設置して検討を進めてきました。
今回、同検討会における論議を踏まえ、初めてとなる標記のガイドライン(案)を取りまとめたもので、今後、一般からの意見であるパブリックコメントを参考にして、内容を決定するとしています。
賃貸物件は事案の発生から概ね3年間は告知
ガイドライン(案)の賃貸借契約に関する主なポイントは、借主に対して、「過去に他殺、自死、事故死が生じた場合には告知」「老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については告知は必要ない」「階段からの転落や入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥などは告知は必要ない」「自然死や日常生活の中での不慮の死であっても長期間放置され、特殊清掃が行われた場合は告知」「事案の発生から概ね3年間は告知」など。
事案の存在を告げる際には、後日のトラブル防止の観点から、書面の交付等によることが望ましいとしています。
このようにガイドラインでは、ガイドライン制定の趣旨・背景・法律上の位置づけについて、ガイドラインの適用範囲となる事案・不動産について、宅地建物取引業者が告げるべき事案について、宅地建物取引業者が行うべき調査について、事案に関して、宅地建物取引業者が告げるべき内容・範囲について、がそれぞれ整理されて、具体的に示されています。
なお、「心理的瑕疵物件」については、『賃貸経営ワンポイントアドバイス』でも取り上げています。
■■「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)のポイント■■
□借主に対して告げるべき事案
・対象とするのは居住用不動産。隣接住戸や前面道路などの事案はガイドラインの対象外。
・過去に他殺、自死、事故死が生じた場合には告知。
・老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については告知は必要ない。
・階段からの転落や入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥などは告知は必要ない。
・自然死や日常生活の中での不慮の死であっても長期間放置され、特殊清掃が行われた場合は告知。
※こうした内容は(案)であり、今後、検討を加えて秋ごろまでに正式に決定されるようです。
賃貸経営ワンポイントアドバイス
事故物件の取扱いの判断基準を整備
賃貸仲介の新たな広がりの弾みに期待
法律面の運用に至るまで問題点が整備される予定
長年、賃貸住宅経営を脅かしていた「心理的瑕疵物件」に対して、国から指針が示されました。
国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)を公表し、意見公募を経て、内容の詰めに着手します。
人の死に関連する事柄だけに、取り扱いに長く苦慮してきましたが、やっと宅地建物取引業法上負うべき責務の解釈から、法律面の運用に至るまで問題点が整備されます。
アパート・マンションの部屋から、事件・自己で死人が出るとその部屋は即、自己物件扱いとなってしまい、心理的瑕疵物件としての取引きを余儀なくされます。
病死の場合はちょっとニュアンスが違ってきますが、それでも病院ではなく、部屋で息を引き取ったケースでは対応が事故死に近くなります。
インターネット利用の広がりとともに、「心理的瑕疵物件」の関心も高まったようで、賃貸物件検索サイトでは、「事故物件」の専門コーナーがあり、自殺物件、孤独死、病死物件と案内されています。
事故物件に対して年々社会の関心が強くなっているようです。
従来、事故物件の告知・PRについて、公正取引委員会の認定を受けた「不動産の表示に関する公正競争規約」では、「自殺のあった物件」に対して広告に記載していなくても違反ではないとしていました。
ただ、宅地建物取引業法第47条(業務に関する禁止事項)に則れば告知義務があると判断される、としています。
それが、自己物件の取り組みに対する指針が示され、ベースとなる「ガイドライン」がつくられることで、事故物件の取り扱いの判断基準が整備され、不動産取引の方向性が明確になります。
また、トラブルの防止に役立ち、賃貸住宅仲介の新たな広がりにも弾みがつくと期待されています。
ちょっと一服
暗号資産が賃貸住宅市場にも決済手段として実用化に向けた動き
暗号資産(仮想通貨)が投資はもとより、金融界で広く注目されています。
ちなみに、昨年5月の資金決済法の改正により「仮想通貨」は「暗号資産」へ呼称変更されました。
暗号資産へ日本円やドルなどのように国が保証する「法定通貨」ではなく、インターネット上でやり取りされる電子データです。
大きな特徴として、価格が定まっていないので、価格が変動することがあります。
紙幣や硬貨、あるいは金のように現物ではないので、今ひとつ実態はピンとこないのですが、この6月に入って、「日本国内で初めて暗号資産支払による賃貸借契約が締結された」とプレス発表されました。
eコマース(電子取引)が急速な広がりを見せているだけに、賃貸借契約と関連する決済に、暗号資産が使われるのは時間の問題と見られていましたが、いよいよ家賃の支払いに暗号資産が使われる時代を迎えようとしています。
メリットの部分が多いだけに、時代の動きは速く、暗号資産が使用されるスピードはさらに拍車がかかりそうです。
「関東在住20代社会人シングル男女の一人暮らしデータ2021」
部屋探しで重視する条件はダントツで「家賃」
リモートワークしている人は4割以上
若い層の最近の部屋探しの傾向とポイントを(株)リクルートがこのほど発表した、「関東在住20代社会人シングル男女の一人暮らしデータ2021」から見ていきたいと思います。
それによりますと、部屋探しをする多くの人が最も重視するのはやはり「家賃」にあるようです。
一人暮らしをしている20代社会人シングルのボリュームゾーンは「6万円台」で、「7万円台」も多く、「6万~7万円台」の合計で4割以上を占めています。
前回の平成29年調査では「5万円台」が「6万円台」より僅差で多く、「5万~6万円台」で全体の半数近くを占めていました。
今回の調査では、前回の調査に比べると家賃が少し高めの結果となっています。
4年の間に、家賃も広さもアップ
リモートワークしやすい環境重視
「部屋の広さ」については、最も多いボリュームゾーンが「~18平方メートル」の層で3割以上を占め、「~20・~23・~25平方メートル」も多く、合計すると「25平方メートルまで」の部屋に住んでいる人が全体の約7割となっています。
なお、平成29年の前回調査では「~25平方メートル」までの層が少なかったのが、今回は増えているのが特徴。
4年の間に、家賃も広さもアップしているという傾向が見られます。
部屋探しでとくに重視する条件については、やはり「家賃」がダントツで多く、男女差はあるものの、8割以上が重視。
また、「セキュリティ」に関して重視している女性は、男性の3倍以上となっています。
立地・周辺環境で重視したものでは、全体で「駅の近さ」が4割以上と最多、次いで「学校・バイト先・勤務先への通いやすさ」が4割近くに。
男女別に見ると、女性は「駅の近さ」と「治安のよさ」が半数近くで同率1位。
最近の部屋探しにおいて、気になるキーワードの一つがリモートワーク。
リモートワークをしている人は4割以上で、最も多いのが「週5日以上」。
部屋探しでも、リモートワークのしやすい環境を重視する傾向が増えてきそうです。
賃貸経営に関連する骨太の政策が相次いで実現へ
コロナ禍にあって、「心理的瑕疵の取り扱いに関するガイドライン」(案)の公表、「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(ひな形)を策定、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」の全面施行などの骨太の政策が相次いで打ち出されています。
賃貸や売買の不動産取引に際して、当該不動産で過去に生じた人の死に関する心理的瑕疵について、国土交通省は初めてとなる指針案、「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)を公表しました。
詳しくは2面で取り上げています。
そして、同省は心理的瑕疵に関連して、単身高齢者の居住の安定確保を図るため、賃借人の死亡後に契約関係及び居室内に残された家財(残置物)を円滑に処理できるように、賃貸借契約の解除と残置物の処理に関する「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(ひな形)を策定し、公表しました。
昨年6月、賃貸住宅市場の整備を図る「賃貸住宅管理業法」が制定され、昨年12月の「サブリース業法と所有者との間の賃貸借契約の適正化に係る措置」に続いて、この6月15日に「賃貸住宅管理業に係る登録制度の創設」が施行されました。
これで、「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」が全面施行となり、賃貸管理の充実化とともに、管理の社会的信頼度が高まったものです。
ところで、賃貸市場を取り巻く景気動向ですが、景気の指標となっている内閣府の6月公表の景気ウォッチャー調査では、「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる。先行きについては、感染症の動向を懸念しつつも、ワクチン接種の進展等による持ち直しへの期待がみられる」とまとめています。
新年度スタートの4月も
全国の人口移動は大幅に減少
また、(株)帝国データバンクの5月調査は「5月の景気DIは、前月比0.8ポイント減の37.5となり、4ヵ月ぶりに悪化した。国内景気は、感染症拡大防止対策で人流抑制が図られたことで、4ヵ月ぶりの悪化となった。今後は下振れリスクも多く一時的に悪化するものの、徐々に上向いていくとみられる。業界別で不動産DIは、前月比1.4ポイント減の39.4」としています。
国土交通省が発表した4月の貸家の新設着工は、前年同月比13.6%増の約2万9千戸で、2ヵ月連続の増加となりました。
公的資金による貸家は減少したが、民間資金による貸家は増加したため、貸家全体で増加となったものです。
このまま賃貸住宅の増設傾向が定着するのか、注目されるところです。
総務省が発表した4月の全国の市区町村間・都道府県間・都道府県内の各移動者数は、全て前年同月に比べ減少となっています。
新年度スタートの4月もコロナ禍の影響を受け、人口移動は大幅に減少したものです。
ニュースフラッシュ
令和3年3月末時点における住宅宿泊仲介業者が取り扱う民泊物件大幅減少
コロナ禍によってインバウンド需要が大きな落ち込みを見せていますが、国土交通省の観光庁はこのほど、令和3年3月末時点における住宅民泊仲介業者が取り扱う民泊物件の推移についての取りまとめを発表しました。
それによりますと、令和3年3月31日時点での住宅宿泊仲介業者等89社と届出住宅の取扱い旅行業者6社の計95社が取り扱う民泊物件数は、延べ11万2,878件となっています。
住宅宿泊仲介業者が取り扱う民泊物件数の推移を見ますと、平成30年の住宅宿泊事業法の施行時点が2万4,938件で、令和元年9月末に9万6,648件、翌年9月末には11万8,099件と増加していたのが、この半年間で5,221件の減少となりました。
住宅宿泊仲介業者が取り扱う民泊物件の内訳は、住宅宿泊業法に基づく届出住宅が3万7,679件、旅館業法に基づく旅館・ホテル、簡易宿所が6万263件、特区民泊の認定施設が1万4,787件、その他149件の合計11万2,878件です。
「心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)
「事故物件」の告知に初指針案を公表
国土交通省は、「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)を公表しました。
今後、パブリックコメントの意見等を参考に、採取的な内容を決める意向。
売買や賃貸などの不動産取引に際して、当該不動産で過去に生じた人の死に関する心理的瑕疵についての適切な告知や取り扱いに係る判断基準がなく、取引現場の判断が難しいことから円滑な流通、安心できる取引が阻害されているとの指摘が早くから寄せられていました。
こうしたことを受けて、国土交通省では、過去に人の死が生じた不動産において、当該不動産の取引に際して宅地建物取引業者が取るべき対応に関し、宅地建物取引業法上負うべき責務の解釈についてガイドラインを定めるため、不動産取引における心理的瑕疵に関する検討会を設置して検討を進めてきました。
今回、同検討会における論議を踏まえ、初めてとなる標記のガイドライン(案)を取りまとめたもので、今後、一般からの意見であるパブリックコメントを参考にして、内容を決定するとしています。
賃貸物件は事案の発生から概ね3年間は告知
ガイドライン(案)の賃貸借契約に関する主なポイントは、借主に対して、「過去に他殺、自死、事故死が生じた場合には告知」「老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については告知は必要ない」「階段からの転落や入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥などは告知は必要ない」「自然死や日常生活の中での不慮の死であっても長期間放置され、特殊清掃が行われた場合は告知」「事案の発生から概ね3年間は告知」など。
事案の存在を告げる際には、後日のトラブル防止の観点から、書面の交付等によることが望ましいとしています。
このようにガイドラインでは、ガイドライン制定の趣旨・背景・法律上の位置づけについて、ガイドラインの適用範囲となる事案・不動産について、宅地建物取引業者が告げるべき事案について、宅地建物取引業者が行うべき調査について、事案に関して、宅地建物取引業者が告げるべき内容・範囲について、がそれぞれ整理されて、具体的に示されています。
なお、「心理的瑕疵物件」については、『賃貸経営ワンポイントアドバイス』でも取り上げています。
■■「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)のポイント■■
□借主に対して告げるべき事案
・対象とするのは居住用不動産。隣接住戸や前面道路などの事案はガイドラインの対象外。
・過去に他殺、自死、事故死が生じた場合には告知。
・老衰、持病による病死など、いわゆる自然死については告知は必要ない。
・階段からの転落や入浴中の転倒事故、食事中の誤嚥などは告知は必要ない。
・自然死や日常生活の中での不慮の死であっても長期間放置され、特殊清掃が行われた場合は告知。
※こうした内容は(案)であり、今後、検討を加えて秋ごろまでに正式に決定されるようです。
賃貸経営ワンポイントアドバイス
事故物件の取扱いの判断基準を整備
賃貸仲介の新たな広がりの弾みに期待
法律面の運用に至るまで問題点が整備される予定
長年、賃貸住宅経営を脅かしていた「心理的瑕疵物件」に対して、国から指針が示されました。
国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いに関するガイドライン」(案)を公表し、意見公募を経て、内容の詰めに着手します。
人の死に関連する事柄だけに、取り扱いに長く苦慮してきましたが、やっと宅地建物取引業法上負うべき責務の解釈から、法律面の運用に至るまで問題点が整備されます。
アパート・マンションの部屋から、事件・自己で死人が出るとその部屋は即、自己物件扱いとなってしまい、心理的瑕疵物件としての取引きを余儀なくされます。
病死の場合はちょっとニュアンスが違ってきますが、それでも病院ではなく、部屋で息を引き取ったケースでは対応が事故死に近くなります。
インターネット利用の広がりとともに、「心理的瑕疵物件」の関心も高まったようで、賃貸物件検索サイトでは、「事故物件」の専門コーナーがあり、自殺物件、孤独死、病死物件と案内されています。
事故物件に対して年々社会の関心が強くなっているようです。
従来、事故物件の告知・PRについて、公正取引委員会の認定を受けた「不動産の表示に関する公正競争規約」では、「自殺のあった物件」に対して広告に記載していなくても違反ではないとしていました。
ただ、宅地建物取引業法第47条(業務に関する禁止事項)に則れば告知義務があると判断される、としています。
それが、自己物件の取り組みに対する指針が示され、ベースとなる「ガイドライン」がつくられることで、事故物件の取り扱いの判断基準が整備され、不動産取引の方向性が明確になります。
また、トラブルの防止に役立ち、賃貸住宅仲介の新たな広がりにも弾みがつくと期待されています。
ちょっと一服
暗号資産が賃貸住宅市場にも決済手段として実用化に向けた動き
暗号資産(仮想通貨)が投資はもとより、金融界で広く注目されています。
ちなみに、昨年5月の資金決済法の改正により「仮想通貨」は「暗号資産」へ呼称変更されました。
暗号資産へ日本円やドルなどのように国が保証する「法定通貨」ではなく、インターネット上でやり取りされる電子データです。
大きな特徴として、価格が定まっていないので、価格が変動することがあります。
紙幣や硬貨、あるいは金のように現物ではないので、今ひとつ実態はピンとこないのですが、この6月に入って、「日本国内で初めて暗号資産支払による賃貸借契約が締結された」とプレス発表されました。
eコマース(電子取引)が急速な広がりを見せているだけに、賃貸借契約と関連する決済に、暗号資産が使われるのは時間の問題と見られていましたが、いよいよ家賃の支払いに暗号資産が使われる時代を迎えようとしています。
メリットの部分が多いだけに、時代の動きは速く、暗号資産が使用されるスピードはさらに拍車がかかりそうです。
「関東在住20代社会人シングル男女の一人暮らしデータ2021」
部屋探しで重視する条件はダントツで「家賃」
リモートワークしている人は4割以上
若い層の最近の部屋探しの傾向とポイントを(株)リクルートがこのほど発表した、「関東在住20代社会人シングル男女の一人暮らしデータ2021」から見ていきたいと思います。
それによりますと、部屋探しをする多くの人が最も重視するのはやはり「家賃」にあるようです。
一人暮らしをしている20代社会人シングルのボリュームゾーンは「6万円台」で、「7万円台」も多く、「6万~7万円台」の合計で4割以上を占めています。
前回の平成29年調査では「5万円台」が「6万円台」より僅差で多く、「5万~6万円台」で全体の半数近くを占めていました。
今回の調査では、前回の調査に比べると家賃が少し高めの結果となっています。
4年の間に、家賃も広さもアップ
リモートワークしやすい環境重視
「部屋の広さ」については、最も多いボリュームゾーンが「~18平方メートル」の層で3割以上を占め、「~20・~23・~25平方メートル」も多く、合計すると「25平方メートルまで」の部屋に住んでいる人が全体の約7割となっています。
なお、平成29年の前回調査では「~25平方メートル」までの層が少なかったのが、今回は増えているのが特徴。
4年の間に、家賃も広さもアップしているという傾向が見られます。
部屋探しでとくに重視する条件については、やはり「家賃」がダントツで多く、男女差はあるものの、8割以上が重視。
また、「セキュリティ」に関して重視している女性は、男性の3倍以上となっています。
立地・周辺環境で重視したものでは、全体で「駅の近さ」が4割以上と最多、次いで「学校・バイト先・勤務先への通いやすさ」が4割近くに。
男女別に見ると、女性は「駅の近さ」と「治安のよさ」が半数近くで同率1位。
最近の部屋探しにおいて、気になるキーワードの一つがリモートワーク。
リモートワークをしている人は4割以上で、最も多いのが「週5日以上」。
部屋探しでも、リモートワークのしやすい環境を重視する傾向が増えてきそうです。