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きちんとおこなっていますか?【消防用設備点検】







消防法により消防用設備等を設置することが義務付けられている防火対象物の関係者(所有者・管理者・占有者)は、その設置した消防用設備等を定期的に点検し、その結果を消防長または消防署長に報告する義務があります。
消防用設備等は、いついかなる場合に火災が発生しても確実に機能を発揮するものでなければならないので、日頃の維持管理が十分に行われることが必要です。
このため、消防法では消防用設備等の点検・報告ばかりでなく、整備を含め適正な維持管理を行うことを防火対象物の関係者に義務付けています。

消防設備が正しく設置されているか、機能しているかを点検し、それを消防署に報告することもオーナーの義務のひとつです。
一定の基準まではオーナー自身が点検し報告することも可能ですが、よほど消防設備に詳しくない限り正しく点検を実施したり報告書をまとめたりすることは難しいでしょう。
また、建物の用途や規模によっては、消防設備士など専門資格を持っている者に点検をさせなければならないので、消防点検は専門業者に依頼するのが一般的です。

今回は消防用設備点検についてお伝えしていきます。





■■消防点検の内容とは?■■


【消防点検の種別と期間】

・機器点検(半年に1回)
消防用設備等の機器の適正な設置や損傷などの有無、そのほか主として外観から判断できる事項及び機器の機能について、簡易な操作により判別できる事項を、消防用設備等の種類などに応じて告示に定める基準に従い確認します。

・総合点検(1年に1回)
消防用設備等の全部もしくは一部を作動または当該消防用設備等を使用することにより、当該消防用設備などの総合的な機能を、消防用設備等の種類などに応じて告示で定める基準に従い確認します。



【報告の期間】

・1年に1回 特定防火対象物
      …飲食店、百貨店、ホテル、病院、地下街 など

・3年に1回 非特定防火対象物
      …共同住宅、工場、倉庫、駐車場 など

消防法では、マンション・アパート等の共同住宅を消防用設備等の設置が義務化された防火対象物として指定しています。
消防用設備等はいついかなる場合でも確実に作動する必要があり、半年に一度の点検が義務付けられており、3年毎に消防長または消防署長に報告しなければなりません。
この報告を怠ると、30万円以下の罰金または拘留に処せられます。



【報告先】

防火対象物関係者が、消防本部のある市町村は消防長または消防署長へ、消防本部のない市町村は市町村長へ、直接または郵送(消防長または消防署長が適当と認める場合)で行います。




■■消防設備の種類と点検項目■■


アパートを想定した設備と点検項目は以下の通りです。
規模などの条件によって追加項目がありますので、注意が必要です。



〇消火器

火災は主にABCの3種類に大別されます。
Aは普通火災、Bは油火災、Cは電気火災です。
消火器の種類は大きく分けて5種類あり、それぞれの火災と場所に応じて設置します。
点検時には、その場所に適切な種類または大きさの消火器が置かれているかをチェックします。
動作確認を行い、必要であれば交換を行います。
場合によっては中身だけ交換するときもあります。



〇自動火災通知設備

自動火災通知設備には2種類あります。
ひとつはアパートの専有部分についているような天井に付けるタイプで、単体で音が鳴る住宅用のもの。
もう一つは感知器が熱または煙を感知すると、建物全体に火災を知らせるために他の場所にある報知器も連動して音がなるものです。
床面積などによって自動火災報知設備の設置義務が発生します。
どちらかを自由に選べるわけではないので、専門機関への確認が必要です。

2004年に消防法が改正され、全ての住宅に住宅用火災報知器を設置し、維持することが義務付けられました。
住宅用火災報知器は、家の1か所に設置していればいいというわけではありません。
基本的には寝室と寝室がある階の階段上部(1階の階段は除く)に設置することが必要で、このほか各市町村条例により台所やその他の居室にも設置が必要な地域があります。
詳しくは各市町村の所轄消防署でご確認ください。



〇避難器具

避難はしご、救助袋、緩降機、滑り台などがあります。
各設備の劣化を調査するほか、避難器具は置かれている場所によってうまく機能しない場合があるので、設置場所もチェックします。
格納場所の周辺に物が置かれていないかどうかも、迅速に避難ができるかどうかにかかわってきますので、重要なチェックポイントになります。
問題がある場合は、管理会社を通して入居者に注意すべきです。
避難ハッチは平成4年よりステンレス製であることが定められています。
鉄製の場合は改修が必要です。



〇誘導灯

火災による煙の発生で逃げ遅れることがないよう設置するものです。
正しく点灯するか、設置個所は適切かをチェックします。
具体的には、パーテーションやカーテンで誘導灯が隠れていないか、誘導灯に見間違えやすい灯りがないかなどを確認します。



〇非常警報設備

火災が発生したときに起動装置を手動で作動し、非常ベルや自動サイレンなどの音響設備により火災を知らせるものを非常警報設備といいます。
中規模以上の収容人員の多い防火対象物に設けられるケースが大半です。
非常警報器具は、火災が発生したことを手動により防火対象物の全区域に報知するもので、拡声器が代表例です。
こちらは収容人員の少ない小規模の防火対象物に設置されます。



〇連結送水管

屋内消火栓用・屋外消火栓用・連結送水管用のホースは、年月の経過とともに劣化しますので、点検が必要です。
10年経過後、3年毎に実施します(ホースを新しく設置した場合は、取替え後10年間は免除)。




いかがでしたでしょうか。
賃貸経営をするにあたって、オーナー自身においても消防設備にきちんと目を配る必要があります。
どのような消防設備があり、しっかりと期間内に点検を実施しているかどうかをきちんと把握しておくことが重要です。
消防点検を怠ると、いざというときに入居者への被害が大きくなるだけでなく、オーナー自身も刑罰に問われる場合があります。
消防設備をきちんと整備し把握しておくことで、防災意識が高いことや、物件への手入れが行き届いていることへのアピールにもなり、入居者の満足度の向上へもつながる結果となります。
今一度、所有物件の消防用設備を確認しておきましょう。